アンデス山脈の東斜面、ベネズエラからペルーにかけて分布する比較的小型のハチドリです。
オス・メスともに主に緑色で、くちばしは短くまっすぐです。
オスは緑色の喉と、首の両側に青い斑、さらに途切れた白い首輪を持ちます。
メスは喉がやや鈍い緑色で、目の上に白い線があります。
目立たない種で、標高800〜2,000mほどの山麓から亜熱帯林の下層や林縁に生える花の群れで、単独で見られることが多いです。
基本情報
| 和名 | キリハシハチドリ |
| 英名 | Geoffroy’s Daggerbill |
| 学名 | Schistes geoffroyi |
| 分布 | ボリビア、コロンビア、エクアドル、ペルー、ベネズエラ |
| 生息地 | 深い雲霧林の内部や縁に生息し、標高900〜2,300mが主な範囲 ※エクアドルでは2,500m、ペルー南東部では2,800mでも確認 ※ほとんどが定住性ですが、繁殖後に標高移動を行うこともある |
| 大きさ | 全長8.6〜9.3cm、体重3.5〜4.1g |
| 鳴き声 | 昆虫のように規則的な「ツィッ」または「スィンク」という音の連続 低い枝からさえずる |
| 花 | さまざまな低木やツル、小木の筒状の花 |
| 巣作り | 柔らかい綿毛やクモの糸で作ったカップ状で、外側に地衣類を付けてカモフラージュする |
| 繁殖 | 卵は2個で、メスだけが抱卵 抱卵期間は15〜16日、孵化後20〜22日で巣立つ ※ベネズエラでは8〜11月に繁殖、他地域では正確な時期は未確認 |
| 特徴 | 外見(オス):緑の喉、青い首の斑、白い首輪 外見(メス):鈍い緑の喉、白い目線 |
分類
| ドメイン | 真核生物 Eukaryota |
| 界 | 動物界 Animalia |
| 門 | 脊索動物門 Chordata |
| 亜門 | 脊椎動物亜門 Vertebrata |
| 綱 | 鳥綱 Aves |
| 目 | アマツバメ目 Apodiformes |
| 科 | ハチドリ科 Trochilidae |
| 属 | キリハシハチドリ属 Schistes |
| 種 | キリハシハチドリ Schistes geoffroyi |
保全状況
| 絶滅 | —絶滅の | 恐れのある | 状態— | 低危険 | ||
| EX | EW | CR | EN | VU | NT | LC |
亜種
2亜種があります。
- S. g. geoffroyi
- S. g. chapmani
亜種chapmaniは喉の白斑がない
英名
本種はかつて、現在同属のもう一種である「ノドジロキリハシハチドリ(S. albogularis)」と同一種とされ、「wedge-billed hummingbird(クサビキリハシハチドリ)」という名でまとめられていました。
しかし、アメリカ鳥学会南米分類委員会(SACC)が2018年6月に両者を別種として分離し、その後、国際鳥類委員会(IOC)、クレメンツ分類、BirdLife International(HBW)もこれに従いました。
HBWのみが「Wedge-billed Hummingbird」という名称を用いており、他は「Geoffroy’s Daggerbill」を採用しています。
一部の研究者は、本属(Schistes)を「Augastes属」に統合すべきだと提案しています。
キリハシハチドリは英名が統一されていないため、「Wedge-billed Hummingbird」と「Geoffroy’s Daggerbill」の2つの英名を持っています。
WRITERこの記事の著者
hachidori-zukan
【野鳥観察が人生の目的】憧れのハチドリに会いたくて、図鑑サイトを作りました!ハチドリに会える度に、充実していくであろう当サイト。「ハチドリを知るなら当サイト!」って言っていただけるようなサイトを作っていきますので、見守っていただけると、幸いです!

