コスタリカ:小さな国土に広がる「ハチドリの楽園」

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中米の小さな自然の宝庫

コスタリカは、中米の中心にある小さな国です。面積は約5.1万平方キロメートルで、日本の九州と四国を合わせたくらいの大きさしかありません。
北はニカラグア、南東はパナマ、東はカリブ海、西は太平洋に面しています。

小さな国ですが、なんと約52種類のハチドリが生息しています。

国土の広さに対するハチドリの種数の多さは世界でもトップクラスです。コスタリカは「自然保護の模範国」としても知られ、小さい国だからこそ、自然との共存を実践している場所です。

山脈が生み出す多様な環境

コスタリカを縦断する山脈が、国の自然の豊かさを支えています。

  • グアナカステ山脈
    北西部にある火山性の山脈。標高は約2,000メートルで、湿った空気がぶつかるため、雲霧林が広がります。
  • ティララン山脈
    中北部の山脈で、モンテベルデ雲霧林保護区がある場所です。
    標高1,400〜1,800メートルの霧に包まれた森は、生物多様性の宝庫です。
  • 中央火山山脈
    コスタリカ中央部の火山帯で、首都サンホセもこの山脈の裾野にあります。
    イラス火山やポアス火山など、活発な火山が連なっています。
  • タラマンカ山脈
    南部から南東に広がる最高峰チリポ山(3,820メートル)を含む山脈。
    高山草原パラモも広がり、南米アンデスとの生態系のつながりも感じられます。

国土の小ささが生む極端な環境差

コスタリカは東西に狭く、最も狭い場所では約120キロしかありません。しかし、この短い距離の中に、大きく異なる環境が広がっています。

  • カリブ海側:終わりなき雨
    東海岸は一年中雨が多く、熱帯雨林が広がります。
    ハチドリにとって理想の環境です。
  • 太平洋側:明確な季節
    乾季と雨季がはっきりしており、乾季には一部のハチドリが標高の高い場所やカリブ海側へ移動します。
  • 中央高地:常春の気候
    標高1,000〜2,000メートルの中腹は、一年を通じて温暖で快適です。
    多くの人とハチドリがこの地で暮らしています。

驚異的な生物多様性

コスタリカは、国土面積のわずか0.03%しかないのに、地球上の生物種の約5%が生息しています。

  • 鳥類の宝庫
    約900種の鳥類が記録され、そのうち52種がハチドリです。
  • 植物の多様性
    約12,000種の植物が生育し、蘭だけでも約1,500種あります。花の形や蜜の量が異なるため、ハチドリたちはそれぞれ特定の花に特化して共存しています。

モンテベルデ:霧に包まれた森

モンテベルデ雲霧林保護区は、標高1,400〜1,800メートルの山地にあります。
霧が森に水分を供給し、樹木や着生植物が生い茂るため、ハチドリにとって格好の住処です。

保護区は1972年に設立され、地域コミュニティと共に拡大。観光収入を自然保護に再投資する仕組みが整い、持続可能なモデルとなっています。

軍隊を持たない国の選択

コスタリカは1948年に常備軍を廃止。軍事費を教育や医療、環境保護に回してきました。

その結果、国土の約26%が国立公園や自然保護区として保護され、私有地や先住民保護区も含めると約52%が何らかの形で守られています。

ハチドリと人の共存

各地には「コリブリ・ガーデン」と呼ばれるハチドリ観察スポットがあります。

ここでは10〜20種ものハチドリが蜜を求めて訪れ、人間のそばでも平気で花の蜜を吸います。観光だけでなく、研究にも活用されており、世界中の科学者がハチドリを観察しています。

生物回廊でつながる自然

コスタリカでは、孤立した保護区を森林でつなぐ「生物回廊」を整備しています。

ハチドリなどの野生動物が自由に移動でき、遺伝的孤立を避けるためです。私有地でも森林保護に参加できるよう、政府が補償金を支払う制度(PES)が整っています。

気候変動と森林回復

コスタリカは、カーボンニュートラルや再生可能エネルギーの利用に取り組み、森林を回復させることで気候変動の影響を抑えています。

1980年代には森林面積が約21%まで減少しましたが、現在は約52%まで回復。多くのハチドリが生息地を取り戻しています。

先住民族と自然の知恵

コスタリカには8つの先住民族が暮らしています。

ブリブリ族は森林を「神聖な場所」として尊重し、ハチドリを「花の魂」と呼びます。伝統的な知識は現代の保全科学でも活かされ、自然保護活動に重要な役割を果たしています。

小さな国が示す大きな可能性

コスタリカは小さい国ですが、「経済発展と自然保護は両立できる」ということを示しています。

52種ものハチドリが暮らすことは、森が守られ、生態系が健全に機能している証拠です。
人々は「プーラ・ビーダ(純粋な人生)」を大切にし、自然と共に生きる暮らしを実践しています。

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WRITERこの記事の著者

hachidori-zukan

hachidori-zukan

【野鳥観察が人生の目的】憧れのハチドリに会いたくて、図鑑サイトを作りました!ハチドリに会える度に、充実していくであろう当サイト。「ハチドリを知るなら当サイト!」って言っていただけるようなサイトを作っていきますので、見守っていただけると、幸いです!