ウルグアイは南米東部に位置する小さな国です。
ブラジル、アルゼンチン、大西洋に囲まれ、比較的温帯気候を持つ地域として特徴的です。
ウルグアイでは約8種のハチドリが確認されています。
熱帯地域に比べると種数は少ないですが、南米東部でハチドリが季節的に利用する「南の限界」に近い場所として重要です。
庭園や農地など、人間が変えた環境にも適応しています。
そんな独特な自然環境とハチドリの関係を見ていきましょう。
ウルグアイの地理と自然環境
ラプラタ川と大西洋
ウルグアイは大きなラプラタ川の河口に位置します。
この川はブラジルや周辺地域から水を集め、大西洋へ注ぎます。
河口周辺の湿地帯は、多くの動植物にとって重要な生息地です。
ハチドリもこの湿地や沿岸の森に依存しています。
パンパス平原:広大な草原
国土の大部分はパンパス平原と呼ばれる広大な草原地帯です。
肥沃な土壌を持つこの草原は、農業に利用されることが多く、ハチドリの自然生息地を制限する要因にもなっています。
年間降水量は適度ですが、乾燥期には花資源が減少し、ハチドリの分布に影響します。
温帯気候:低温の制約
ウルグアイは温帯気候で、南半球の冬(6月~8月)には10℃以下になることもあります。
冬期の低温と花資源の不足は、ハチドリの生存に大きな制約を与えます。
特に季節的に訪れる種にとって、温度と食物は決定的な要素です。
河川と湿地のオアシス
国内を流れる川沿いには湿地やギャラリー林と呼ばれる川岸の森があります。
これらは草原の中でハチドリが生活できる重要な生息地です。
都市部や農地が広がる地域でも、川沿いの林が貴重な隠れ家となっています。
ウルグアイの特徴的なハチドリ3種
ゴールデンサファイアハチドリ(Gilded Sapphire)
ゴールデンサファイアハチドリ(学名:Hylocharis chrysura)は、ウルグアイで最も一般的で広く分布する種です。
オスは深い虹色の翼と金銅色に光る尾を持ちます。サバンナや草地、都市部の庭園など多様な環境に適応しており、給餌場所の縄張りを守る行動が見られます。
クロハチドリ(Black Jacobin)
クロハチドリ(学名:Florisuga fusca)はブラジル南部からウルグアイに分布します。
オスは全体的に黒から暗褐色で、尾の外側に白い模様があります。
湿った森林内部や森の縁を好み、ゴールデンサファイアハチドリよりも密林環境に強く依存します。
ツバメハチドリ(Swallow-tailed Hummingbird)
ツバメハチドリ(学名:Eupetomena macroura)は南米東部に広く分布します。
ウルグアイでは稀な訪問者として記録され、主に北部やアルゼンチン国境付近で見られます。
長く二股に分かれた尾が特徴で、非常に攻撃的な縄張り防衛を行います。
ウルグアイのハチドリが直面する脅威
生息地の破壊と農業
パンパス平原の大部分が農地に変わり、自然の川岸林や湿地が減少しています。これにより、ハチドリが利用できる生息地が制限されています。
農薬の使用
農薬はハチドリのヒナに必要な昆虫の数を減らします。特に給餌に依存する幼鳥の成長に影響を与えます。
都市化と庭園の役割
都市拡大で自然生息地は失われます。
しかし庭園や給餌器は、ハチドリに新たな食料源を提供する重要な役割を果たしています。都市環境が生態系の一部として機能する例です。
保全と将来の取り組み
庭園と給餌器の重要性
都市部での給餌器設置は、個体群維持に大きく貢献しています。庭園は食料だけでなく、休息や隠れ家の場としても利用されています。
湿地の保全
ウルグアイは自然保護区の割合が低く、特にラプラタ川河口の湿地保全が重要です。これによりハチドリを含む多くの野生生物が守られます。
まとめ:温帯地域でのハチドリの適応
ウルグアイの約8種のハチドリは以下の要因で生存しています。
- ラプラタ川の湿地:重要な生息地を提供
- 河岸林:草原の中での隠れ家となる
- 人間環境への適応:庭園や農地でも生き延びる
しかし、生息地破壊や農薬の使用が脅威です。
ウルグアイのハチドリを守ることは、南米温帯地域の生物多様性と、人間の生活圏と自然の共存の重要性を示すものです。
参考文献
- List of birds of Uruguay – Wikipedia
- Gilded Sapphire (Hylocharis chrysura) – Wikipedia
- Black Jacobin (Florisuga fusca) – Wikipedia
WRITERこの記事の著者
hachidori-zukan
【野鳥観察が人生の目的】憧れのハチドリに会いたくて、図鑑サイトを作りました!ハチドリに会える度に、充実していくであろう当サイト。「ハチドリを知るなら当サイト!」って言っていただけるようなサイトを作っていきますので、見守っていただけると、幸いです!

