ミミグロハチドリは小さな茶色がかったハチドリです。
特徴的な黒い頬と淡い黄褐色の眉で識別されます。
のどには様々な程度の斑点があります。
いくつかの個体群は他の個体群よりも斑が少ないです。
背中は緑色で、濃い尾には黄褐色の角斑があります。
顔の模様はユミハシハチドリ属(Hermit)に似ていますが、「小さいサイズ、まっすぐな黒いくちばし、角張った尾」の組み合わせにより、混同は避けられるでしょう。
アンデス山脈に広く分布し、かなり一般的です。
森林の内部や森林の縁の低い場所で採餌します。
標高1,000m〜3,000mで見られます。フィーダーにも訪れます。
基本情報
| 和名 | ミミグロハチドリ |
| 英名 | Speckled Hummingbird |
| 学名 | Adelomyia melanogenys |
| 分布 | アルゼンチン、ボリビア、ペルー、エクアドル、コロンビア、ベネズエラ |
| 生息地 | 亜熱帯林から雲霧林まで ※標高は通常1,400m〜3,000mで見られる ※一つの孤立した個体群が、アンデス山脈から 約130km離れた海岸沿いのチョンゴン・コロンチェ山脈の常緑山地林(600m)に生息している ※定住性ですが、繁殖期が終わると低標高へ移動することがある |
| 大きさ | 全長8-9cm、体重3.5-4.9g |
| 鳴き声 | シャッター音のような連続音「ジャッ」や「チュッ」 |
| 花 | 筒の短い花から、または筒の長い花の基部の穴から蜜を吸う |
| 巣作り | ・巣は一年中見つかる ・コケとクモの巣でできたかさばったカップ状で、植物繊維で内張りされている ・巣はコケで覆われた木の幹や、洞窟の入り口の岩の尾根に、高さ1〜3mの位置に作られる |
| 繁殖 | ・オスは巣作りや子育てに参加しない ・交尾後にメスとの関係を解消する ・オスとメスの両方が複数のパートナーを持つことがある ・メスは2つの白い卵を産み、抱卵期間は約17〜20日 |
| 特徴 | オスとメスの外見は同じ |
分類
| ドメイン | 真核生物 Eukaryota |
| 界 | 動物界 Animalia |
| 門 | 脊索動物門 Chordata |
| 亜門 | 脊椎動物亜門 Vertebrata |
| 綱 | 鳥綱 Aves |
| 目 | アマツバメ目 Apodiformes |
| 科 | ハチドリ科 Trochilidae |
| 属 | ミミグロハチドリ属 Adelomyia |
| 種 | ミミグロハチドリ Adelomyia melanogenys |
保全状況
| 絶滅 | —絶滅の | 恐れのある | 状態— | 低危険 | ||
| EX | EW | CR | EN | VU | NT | LC |
亜種
6亜種があります。
ミミグロハチドリの亜種について
以前は、ミミグロハチドリは羽毛の色や地域の違いから8つの亜種に分けられてきました。
しかし、DNA解析を含む最新の研究で、実際には6つのグループに分かれることが判明しました。
この6つのグループの境界は、山脈や河川などの地理的障壁と一致していましたが、従来の8亜種の境界とは異なっていました。
※ミミグロハチドリの現在の亜種分類は不明で、以前の8亜種の情報のみが確認できます。
距離よりも障壁が重要
研究で最も注目すべき発見は、遺伝的な違いと地理的距離の関係です。
4,000km以上離れた集団間の遺伝的違いは5.8%でしたが、わずか50km未満しか離れていない集団間では8.2%もありました。
これは、単純な距離よりも「間に何があるか」が重要だということを示しています。
たとえ近くても、間に山や川などの越えられない障壁があれば、ハチドリは行き来できず、長い時間をかけて遺伝的に大きく分かれていきます。
逆に、遠く離れていても障壁がなければ、行き来できるため遺伝的には近いままです。
羽毛の色は環境で変わる
さらに、羽毛の色や体の大きさなどの特徴は、地理的な障壁よりも「その場所の環境条件」と強く関連していることが分かりました。
湿度、気温、標高、植生などの環境が違えば、それに適応して羽毛の色も変わります。
つまり、羽毛の色が違うからといって、必ずしも遺伝的に別のグループというわけではありません。
環境が違えば、同じ遺伝的グループでも見た目が変わることがあるのです。
逆に、見た目が似ていても、地理的障壁で隔てられていれば、遺伝的には大きく異なる別のグループかもしれません。
亜種分類のまとめ
この研究は、鳥を正しく分類するには、見た目だけでなくDNA解析も必要だということを示しています。
また、生物の分布を理解するには、単純な距離ではなく、地理的障壁の存在と環境条件の両方を考える必要があるということです。
保全活動においても、遺伝的に独立した6つのグループを別々に守る必要があります。
WRITERこの記事の著者
hachidori-zukan
【野鳥観察が人生の目的】憧れのハチドリに会いたくて、図鑑サイトを作りました!ハチドリに会える度に、充実していくであろう当サイト。「ハチドリを知るなら当サイト!」って言っていただけるようなサイトを作っていきますので、見守っていただけると、幸いです!

