大西洋プレートは、地球の地殻を構成する巨大な岩の板の一つです。
地球の中心から湧き上がるエネルギーによって、ゆっくりと動き続けています。
大西洋の形そのものを作り出した、地球規模の動きの主役です。
由来・概要
大西洋プレートという単一のプレートが存在するわけではなく、「大西洋を形成している複数のプレート群」を指す地質学上の概念です。
北半球では「北アメリカプレート」と「ユーラシアプレート」、南半球では「南アメリカプレート」と「アフリカプレート」が向かい合っています。これらのプレートの境界が「大西洋中央海嶺」として海底を南北に走り、大西洋の拡大を生み出しています。
およそ1億8千万年前、超大陸パンゲアが分裂したことで大西洋は生まれました。地球の内部から湧き上がるマントル物質が新しい海底を形成し、ゆっくりとプレートを押し広げてきたのです。
特徴
大西洋プレートを理解するうえで重要なのは、「発散型境界」という考え方です。
大西洋中央海嶺は、プレートが左右に引き離される発散境界に位置し、ここで新しい海洋地殻が生まれます。海底からマグマが湧き出て固まり、次々と新しいプレートを作り出す仕組みです。
この「海洋底拡大」は、地球の地形を絶えず作り替えています。アメリカ大陸とヨーロッパ・アフリカ大陸は、毎年数センチずつ離れており、地球の表面はゆっくりと変化を続けています。
ちなみに、この動きの速さは、人間の爪が伸びる速さとほぼ同じです。
大西洋の縁、つまり大陸の西岸や東岸では、プレートの動きが比較的穏やかなため、太平洋プレートのような激しい火山活動や地震は少ないのが特徴です。
ハチドリとの関わり
一見、海底プレートとハチドリには何の関係もなさそうに見えますが、実は進化の歴史の裏で密接に関わっています。
プレートの動きが大陸の形を変えた結果、気候・地形・植生が変化し、ハチドリが生息できる環境の多様性が生まれました。
たとえば、大西洋プレートの拡大によって南アメリカ大陸が西へ移動したことが、アンデス山脈の隆起を引き起こしました。
この山脈の形成により、高地から熱帯低地まで多様な環境が生まれ、ハチドリはそれぞれの高度に適応した多様な種へと分化しました。
つまり、大西洋プレートの活動は、ハチドリの進化を促した「地球規模の環境装置」ともいえます。
また、大西洋沿岸地域に広がる熱帯雨林や雲霧林も、プレートの動きによって形づくられた地形や気流の影響を受けています。
ブラジル大西洋岸の森林(マタ・アトランチカ)などには、ハチドリが花粉を運び、植物の受粉を助ける重要な関係が今も続いています。
プレートテクトニクスと生命の進化
プレートテクトニクスとは、地球の表面が十数枚のプレートで覆われ、それぞれが動いているという理論です。
大西洋プレートの拡大もこの理論の代表的な例であり、海底磁場の縞模様や海嶺の地形がその証拠となっています。
この運動がもたらす地形変化は、生物進化にも影響します。
大陸が分かれると動植物は隔離され、それぞれ独自に進化します。
ハチドリがアメリカ大陸でのみ多様化したのも、プレート運動による地理的分断が関係していると考えられています。
さらに、大西洋プレートの下で起こるマントル上昇は、火山島や新しい大地を生み、そこに新たな生態系が育まれます。
アイスランドのように海嶺が地上に現れた地域は、その最前線にあたります。
火山島が生まれることで、そこに植物が根づき、やがて鳥たちが飛来し、命の循環が始まるのです。
ポイント
・大西洋プレートは単独のプレートではなく、大西洋を形成する複数のプレート群を指す。
・大西洋中央海嶺でプレートが新しく生まれ、東西方向に拡大している。
・パンゲアの分裂によって形成され、今も年間数センチずつ広がり続けている。
・この地球の動きが、アンデス山脈の隆起やハチドリの進化にも影響を与えている。
・大西洋プレートは、地球の内部活動と生命の多様性をつなぐ重要な存在である。
関連用語リンク
・大西洋中央海嶺
・パンゲア
・プレートテクトニクス
大西洋プレートは、海の底にある地球の「動く床」のようなものです。
海の真ん中で新しい地面が生まれ、少しずつ広がっていきます。
そのおかげで大陸の形が変わり、山や森ができ、ハチドリたちがすむ場所も生まれました。
とてもゆっくりだけど、地球の命を育てる大きな力です。
WRITERこの記事の著者
hachidori-zukan
【野鳥観察が人生の目的】憧れのハチドリに会いたくて、図鑑サイトを作りました!ハチドリに会える度に、充実していくであろう当サイト。「ハチドリを知るなら当サイト!」って言っていただけるようなサイトを作っていきますので、見守っていただけると、幸いです!

