チョコ県は、コロンビア西部に位置する行政区画です。
英語では「Choco Department」と呼ばれます。
太平洋地域に属し、国内最大のアフロコロンビア人人口を抱えています。
湿潤な熱帯気候と独自の文化、生物多様性で知られる地域です。
由来・概要
チョコ県は1944年に設立されました。
県名は、先住民族の呼称や地域の地形的特徴に由来します。
コロンビア西部に位置し、太平洋と大西洋の両方に海岸線を持つ唯一の県です。
北はパナマと国境を接し、州都はキブドです。
豊富な天然資源と多様な自然環境を持ちながらも、地理的な孤立とインフラ不足のため、生活水準は国内でも低い水準にとどまっています。
高温多湿の気候と山岳地形が、外部からのアクセスを難しくしています。
特徴
チョコ県は世界で最も降水量が多い地域の一つです。
年間平均降水量は1万ミリメートル近くに達し、ジョロ市では1万3300ミリメートルを記録します。
これは地球上でも最も湿潤な環境の一つです。
地域を流れる主要河川はアトラト川、サンフアン川、バウド川の三つで、いずれも複雑な支流を持ちます。
これらの河川が肥沃な谷と湿地をつくり、豊かな生態系を支えています。
沿岸にはバウド山脈、内陸には西コルディレラ山脈があり、その間に広がる低地が県の中心部を形成します。
大部分は熱帯雨林で覆われ、マングローブ、沼地、河川が複雑に入り組んでいます。
金や白金の産出でも知られ、鉱業が主要産業の一つです。
ハチドリとの関わり
チョコ県は、ハチドリの生息地としても世界的に注目されています。
チョコ生物地理区は「世界の生物多様性ホットスポット」に数えられ、蜜源植物の多さがハチドリの多様性を支えています。
代表的な種に「ブロンズエメラルドハチドリ(Amazilia saucerrottei)」があり、湿潤な低地林を好んで生息します。
また「エンビテリハチドリ(Heliodoxa imperatrix)」は山地の雲霧林に見られる特徴的な種です。
標高の異なる環境が連続して存在するため、低地熱帯林から雲霧林まで、異なる生態的地位を持つハチドリが共存しています。
チョコ県は、まさに「ハチドリの多様性を体現する地域」といえます。
チョコ生物地理区
チョコ生物地理区は、南パナマからコロンビア西部、北西エクアドルにかけて広がる地域です。
太平洋沿岸の低地から山地までを含み、世界の生物多様性ホットスポットに指定されています。
地球陸地のわずか0.2%未満の面積に、約2750種の固有植物が生息しています。
植物種は約1万1000種にのぼり、固有鳥類は100種以上と、極めて高い固有性を示します。
高い降水量と複雑な地形が進化の舞台となり、多様な生物を育みました。
この地域ではハチドリも重要な存在で、豊かな植物相が多彩な種の進化を支えています。
生態系サービス
チョコ地域には、生物多様性ホットスポットに指定されている「チョコ生物地理区」の他に、
太平洋沿岸では、毎年7月から10月にかけてザトウクジラが訪れます。
ザトウクジラは、南極からおよそ8500キロを移動し、温暖な海域で繁殖と出産を行います。
この自然現象はエコツーリズムの大きな魅力です。
ウトリア、カティオス、タタマなどの国立公園が存在し、保全と観光の両立を進めています。
また、アフロコロンビア系のコミュニティが伝統的な生活を守りながら、自然との共生文化を育んでいます。
こうした文化的多様性もチョコ県の価値の一部です。
ポイント
- 1944年設立、コロンビア西部に位置する県
- 太平洋と大西洋の両方に面する唯一の県
- 年間降水量が1万ミリメートルを超える世界屈指の多雨地帯
- チョコ生物地理区を含む生物多様性ホットスポット
- 固有のハチドリや植物種が多数生息
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hachidori-zukan
【野鳥観察が人生の目的】憧れのハチドリに会いたくて、図鑑サイトを作りました!ハチドリに会える度に、充実していくであろう当サイト。「ハチドリを知るなら当サイト!」って言っていただけるようなサイトを作っていきますので、見守っていただけると、幸いです!

