冠羽(かんう:Crest)とは

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「冠羽」とは、鳥の頭の上に生えている、ほかの羽より長くて目立つ羽のことです。

まるで「かんむり」のように見えるため、この名前がつきました。感情を表したり、仲間に自分の存在を伝えたりする役割があります。英語では「Crest」と呼ばれます。

由来・概要

冠羽は、鳥が美しく見えるように進化した特徴のひとつです。
羽を立てたり寝かせたりして、気持ちや意思を表します。

特にオスは、メスに自分をアピールするために立派な冠羽を持つことが多いです。

特徴

冠羽は普通の羽毛よりも長く、光を受けると輝くことがあります。
鳥が興奮したり警戒したりすると逆立つ姿は、感情のサインです。

形は種によって異なり、短いトサカのようなものから、頭の後ろまで伸びるものまであります。

機能と役割

冠羽の主な役割は三つあります。

一つ目は「性的アピール」で、オスがメスに自分を魅力的に見せるために使います。
二つ目は「威嚇」で、相手を驚かせたり自分を大きく見せたりします。
三つ目は「感情表現」で、安心しているときは羽を寝かせ、警戒時は立てるなど変化します。

ハチドリとの関わり

ハチドリにも美しい冠羽を持つ種類があります。
羽が「構造色」という仕組みで光を反射し、見る角度によって色が変わります。

これは羽の表面にある細かな層が光を干渉させるためで、塗料ではなく構造そのものが色を作り出しています。

求愛の場面では、この虹色の輝きが重要な役割を果たします。
太陽光の下で光り輝く冠羽は、健康で強い個体の証とされ、メスがオスを選ぶ基準になります。

代表的な種の例

キイロヘルメットハチドリ(Buffy Helmetcrest)
アンデス山脈の高山にすむハチドリで、「ヘルメット」のような冠羽を持ちます。
寒冷地に適応した厚い羽毛が特徴で、体温を守る効果もあると考えられています。

オナガラケットハチドリ(Marvelous Spatuletail)
尾羽で知られていますが、冠羽も光を反射する独特の形をしています。
求愛の際に頭を動かして輝きを強調します。

進化と生態的意義

ハチドリは空中で静止できる「ホバリング」飛行を行うため、無駄な飾りは動きの妨げになります。

それでも冠羽を持つのは、羽の構造が非常に軽く、空気抵抗を最小限にしつつ光を最大限に反射できるからです。美しさと機能性を両立した進化の成果といえます。

ポイント

  • 冠羽は鳥の頭にある飾り羽で、感情表現やアピールに使われる
  • ハチドリの冠羽は構造色による虹色の輝きが特徴
  • 求愛や種の識別、威嚇などに役立つ
  • 軽く空気抵抗が少ない構造で、飛行と装飾を両立している

関連用語リンク

  • 構造色(こうぞうしょく)
  • ホバリング
  • 求愛行動
  • 形態学
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WRITERこの記事の著者

hachidori-zukan

hachidori-zukan

【野鳥観察が人生の目的】憧れのハチドリに会いたくて、図鑑サイトを作りました!ハチドリに会える度に、充実していくであろう当サイト。「ハチドリを知るなら当サイト!」って言っていただけるようなサイトを作っていきますので、見守っていただけると、幸いです!