ファラジョネス・デ・カリ国立公園は、コロンビア西部に位置する国立公園です。
英語では「Farallones de Cali Natural National Park」と呼ばれ、面積は約19万6000ヘクタールに及びます。
由来・概要
「ファラジョネス」はスペイン語で「崖」を意味します。険しい岩峰が連なる地形からこの名がつけられました。
公園は1968年に設立され、バジェ・デル・カウカ県で最大の国立公園となっています。
カリ市の西側に位置し、カリやダグア、ブエナベントゥーラなど複数の自治体にまたがります。
アンデス山脈西部の若い岩石層から成り、約2000万年前に南アメリカプレートとナスカプレートの衝突によって形成されました。
ピチンデ、アンデス、レオネーラなど複数の地区を含みます。
特徴
公園は標高200メートルから4050メートルまでの広い範囲にわたり、熱帯雨林からパラモまで4つの生態系が見られます。
太平洋側では年間降水量が6000ミリメートルに達し、山岳地帯でも2500ミリメートルと豊富な雨が降ります。植物は一年中水分を得られ、常緑の森が広がります。
平均気温は低地で25度、高山のパラモでは5度ほどと、標高による気温差が非常に大きい地域です。
公園内では1100種を超える植物が確認され、そのうち480種はラン科植物です。
固有種も多く、レパンテス・ファラロネンシスなどの希少ランが知られています。
また、コロンビアの国立公園の中で唯一、パラモにフライレホンが生育していないことでも注目されています。
ハチドリとの関わり
ファラジョネス・デ・カリ国立公園は、コロンビアでも有数のハチドリ観察地として知られています。
園内では540種以上の鳥類が確認されており、ハチドリはその象徴的な存在です。
特に絶滅危惧種のキイロヘルメットハチドリが生息しており、高山帯の花の重要な送粉者となっています。
標高差によって低地の熱帯雨林から高山のパラモまで環境が変化し、それぞれに適応したハチドリが共存しています。
ピチンデ川渓谷のペニャス・ブランカス地域では、ハチドリを間近で観察できるほか、アンデスイワドリの求愛行動も見られます。
エコツーリズムが盛んで、訪問者はハチドリに囲まれた農家での食事や自然観察を楽しむことができます。
生態系サービス
この公園からは30以上の河川が発しています。
これらはカウカ川流域と太平洋流域に分かれ、コロンビア南西部に水を供給しています。
東斜面ではカリ川やピチンデ川がカウカ川に注ぎ、西斜面ではダグア川やアンチカヤ川が太平洋へ流れます。
カリ市の飲料水源としても重要で、数百万人の生活を支えています。また、水力発電の拠点でもあります。
さらに、公園はメガネグマ(南米唯一のクマ科動物)の生息地でもあり、多様な野生動物が保護されています。
研究や環境教育の場としても利用され、生物多様性の理解を深める拠点となっています。
まとめ
- 1968年に設立されたバジェ・デル・カウカ県最大の国立公園
- 標高200〜4050メートルまでの幅広い環境に多様な生態系が存在
- 540種以上の鳥類が生息するコロンビア屈指の観察地
- 絶滅危惧種バフィーヘルメットクレストが生息
- カリ市の水源を支える重要な自然資源であり、生物多様性の宝庫
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WRITERこの記事の著者
hachidori-zukan
【野鳥観察が人生の目的】憧れのハチドリに会いたくて、図鑑サイトを作りました!ハチドリに会える度に、充実していくであろう当サイト。「ハチドリを知るなら当サイト!」って言っていただけるようなサイトを作っていきますので、見守っていただけると、幸いです!

