石灰岩(せっかいがん)とは

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石灰岩は、炭酸カルシウム(CaCO₃)を主成分とする堆積岩です。
生物の殻や骨格が堆積してできる「生物起源の岩石」で、地球上の多くの場所に広く分布しています。

建築、農業、製鉄など、私たちの生活にも深く関わる重要な岩石です。

由来・概要

石灰岩は、古代の海の中で暮らしていた生物たちの活動から生まれました。
サンゴやフズリナ、貝類、プランクトンなどの殻が長い年月をかけて海底に堆積し、やがて固まって岩になったものです。

形成場所は主に暖かく浅い海で、波が穏やかで生物が繁栄しやすい環境でした。現在の東南アジア、カリブ海、地中海沿岸、日本の南西部などは、その典型的な地域です。

また、海水中の炭酸カルシウムが直接沈殿してできる化学的石灰岩もあり、鍾乳洞に見られる鍾乳石や石筍(せきじゅん)も同じ成分から作られます。

特徴

石灰岩の主成分である方解石は、水に溶けやすく、特に酸を含む雨水に弱い性質を持ちます。
このため、石灰岩地帯では地表や地下が少しずつ溶かされて独特の地形を生み出します。
これが「カルスト地形」と呼ばれるものです。

カルスト地形には、すり鉢状のくぼみ「ドリーネ」、地下に続く「鍾乳洞」、地下水が地表に湧き出る「ポノール」などがあります。
こうした地形は観光地としても人気があり、日本では山口県の秋吉台、高知県の龍河洞などが代表例です。

石灰岩はまた、塩酸をかけると泡を出す特徴を持っています。
これは炭酸カルシウムが化学反応を起こして二酸化炭素を放出するためで、地質調査では識別の手がかりになります。

さらに、変成作用を受けると「大理石」に変わります。白く滑らかな質感があり、美術品や建築の装飾にも使われてきました。

ハチドリとの関わり

一見関係が薄いように思える石灰岩とハチドリですが、実は地形を通して間接的に深い結びつきがあります。

石灰岩地帯では、地下に水が流れ、地表には乾燥した環境が生まれます。このような環境には、水分を蓄えるサボテンや多肉植物、乾燥に強い低木などが育ち、それらの花から蜜をとるハチドリが生活しています。

特に中南米では、石灰岩地帯の谷や崖に自生する花がハチドリの重要な食資源になっており、花の形もハチドリのくちばしに合わせて進化しています。
つまり、石灰岩がつくる独特の地形が、植物とハチドリの共進化を支えているのです。

生態系サービス(地球への恩恵)

石灰岩は、自然界でいくつもの役割を担っています。

まず、炭酸カルシウムとして二酸化炭素を固定することで、大気中のCO₂を減らす効果があります。これは地球の炭素循環の中でも重要なプロセスです。

また、石灰岩地帯の地下には豊富な地下水が蓄えられ、地域の水源として機能します。地表に水が少ない代わりに、地下の水脈が人々の生活や生態系を支えています。

さらに、石灰岩は土壌の酸性を中和する性質があるため、農業にも利用されます。石灰をまくことで作物が育ちやすい環境を整えるのです。

このように、石灰岩は「地球の呼吸を整える岩石」ともいえる存在です。

ポイント

・主成分は炭酸カルシウム(CaCO₃)
・海の生物の殻や骨格が堆積して形成
・酸性の雨水に溶けやすく、カルスト地形をつくる
・建材・セメント・製鉄・農業などに広く利用
・地球の炭素循環や水資源の保持にも貢献

関連用語リンク

  • カルスト地形
  • 鍾乳洞
  • 大理石

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WRITERこの記事の著者

hachidori-zukan

hachidori-zukan

【野鳥観察が人生の目的】憧れのハチドリに会いたくて、図鑑サイトを作りました!ハチドリに会える度に、充実していくであろう当サイト。「ハチドリを知るなら当サイト!」って言っていただけるようなサイトを作っていきますので、見守っていただけると、幸いです!