越冬とは、動物が寒い冬を生き抜くための工夫を指します。英語では「Overwintering」と呼ばれます。
気温の低下や食べ物の不足に対応して、移動したり眠ったりして冬を乗り越えます。
由来・概要
越冬という言葉は「冬を越える」という意味からきています。
動物だけでなく、植物や昆虫なども冬を生き延びる仕組みを持っています。
たとえば、カエルやクマは冬眠して体を休め、鳥は暖かい地域に移動します。植物は葉を落としたり、地中で根を守ったりして寒さをしのぎます。
つまり越冬とは「生きものが冬を生き延びるためのあらゆる方法」をまとめた言葉です。
特徴
越冬の方法は動物の種類によって異なります。
昆虫は落ち葉の下や木の皮の中でじっと動かず冬を過ごします。
鳥の多くは南の国へ渡り、暖かい場所で過ごします。
哺乳類では、クマのように眠るものもいれば、雪の下で活動を続けるネズミのようなものもいます。
植物では、葉を落として休眠したり、寒さに強い芽を作ったりします。これらの行動はすべて、エネルギーをできるだけ使わない工夫です。
ハチドリとの関わり
ハチドリの多くは、冬になるとメキシコや中米などの温暖な地域へ移動します。
北アメリカの繁殖地を離れ、南へ何千キロも飛び続けます。
ノドアカハチドリはその代表です。カナダから出発し、アメリカ南部を経てカリブ海を横断し、中米にたどり着きます。移動距離は4800キロを超えることもあります。
最近では、温暖化の影響で南へ渡らず、アメリカ南部で冬を過ごす個体も増えています。
一方で、アンナハチドリのように北アメリカにとどまる種もいます。
人間が設置した餌台や都市の気温上昇が、越冬を可能にしていると考えられています。
ハチドリの越冬準備
渡りの前、ハチドリは集中的に餌を食べ、体に脂肪を蓄えます。
これは長距離の飛行に備えるためです。
通常の体重が3グラムほどのノドアカハチドリは、渡り前には6グラム近くまで太ります。
飛行中は1秒間に最大80回羽ばたき、心拍数は毎分1200回を超えます。
そのため、出発前の準備が生命線となります。
渡りの途中でも休息や栄養補給を行い、最終的にメキシコや中米の暖かい地域に到着します。
越冬の仕組みと冬眠との違い
「冬眠」は体温を大きく下げ、眠りのような状態で数ヶ月を過ごすことを指します。
クマやリスなどがその代表です。
一方「越冬」はもっと広い意味を持ち、冬眠のほかに「渡り」「行動の変化」「姿の変化」も含まれます。
たとえば、鳥の渡りも越冬の一種です。
エネルギーを節約するという目的は共通していますが、方法は生物ごとに異なります。
越冬地の重要性
ハチドリが冬を過ごす場所には、暖かさだけでなく、蜜を出す花や小さな虫などの食料が必要です。
メキシコや中米の森、沿岸地域、山岳地帯などは、その条件がそろっています。
越冬地でハチドリは、花の受粉を助けたり、植物の繁殖にも貢献しています。
つまり、越冬は単なる生き残りの戦略ではなく、自然全体のつながりを保つ役割も果たしています。
ポイント
- 越冬とは、動物や植物が冬を生き延びる工夫のこと
- 冬眠と渡りが代表的な方法
- ハチドリは主にメキシコや中米で越冬する
- 渡り前に体重を2倍近く増やす準備をする
- 一部のハチドリは北アメリカで冬を過ごすようになっている
関連用語リンク
- 渡り
- 冬眠
- 繁殖地
WRITERこの記事の著者
hachidori-zukan
【野鳥観察が人生の目的】憧れのハチドリに会いたくて、図鑑サイトを作りました!ハチドリに会える度に、充実していくであろう当サイト。「ハチドリを知るなら当サイト!」って言っていただけるようなサイトを作っていきますので、見守っていただけると、幸いです!

