受粉(じゅふん:Pollination)とは

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受粉とは、植物が子孫を残すために、花粉を雄の部分から雌の部分へ移すしくみです。
花粉が雄しべのやく(花粉袋)から雌しべの柱頭に付着すると、受粉が成立します。

これが成功すると受精が起こり、やがて種子や果実が形成されます。
つまり、受粉は植物の「生命のスタート地点」といえます。

由来・概要

受粉は、花粉をどう運ぶかによって二つに大別されます。

運び屋がいる受粉(動物媒)
動物の力を借りて花粉を運ぶ方法です。

虫媒花:ハチやチョウが主な運び屋です。香りや色、蜜で昆虫を引き寄せ、体に花粉を付着させます。
鳥媒花:ハチドリなどの鳥が運び屋になります。赤やオレンジ色の筒状の花が多く、蜜が豊富です。鳥が飛びながら蜜を吸う際に、くちばしや頭に花粉が付き、他の花へ運ばれます。
動物媒花:コウモリや小型哺乳類が花粉を運ぶタイプです。夜に咲き、香りが強い傾向があります。

運び屋がいない受粉(非動物媒)
風や水を使う方法です。

風媒花:スギやイネのように、風で花粉を飛ばします。花は地味で、蜜を持たず、大量の花粉を放出します。
水媒花:水流によって花粉を運ぶ方法で、水生植物に多く見られます。

特徴:受粉のしくみと過程

受粉は単なる花粉の移動ではなく、生命の精密な連鎖です。

  1. 花粉の生成:雄しべのやくで花粉が作られる。
  2. 花粉の移動:風や動物によって柱頭へ運ばれる。
  3. 花粉管の成長:柱頭に付着した花粉が管を伸ばし、雌しべの奥の胚珠へ到達する。
  4. 受精:精細胞が卵細胞と融合し、種子が形成される準備が始まる。

この一連のプロセスにより、植物は次の世代を生み出します。

ハチドリとの関わり:鳥媒花のパートナー

ハチドリは、熱帯・亜熱帯の植物にとって欠かせない受粉者です。

エネルギーの交換関係
花は蜜という報酬を与え、ハチドリは花粉を運ぶという「共存の契約」を結んでいます。
ハチドリのくちばしや頭に付いた花粉が、次の花へと運ばれ、受粉が成立します。

形態の共進化
ハチドリに依存する鳥媒花は、長く細い花筒を発達させ、彼らのくちばし形状にぴったり合うよう進化しました。
この結果、他の昆虫では届かない蜜源を作り出し、確実な受粉を実現しています。
ハチドリもまた、この構造に適応してくちばしの形を変化させてきました。

生態系サービス:受粉がもたらす恵み

受粉は、生態系の循環を支える根幹です。植物が子孫を残すだけでなく、果実や種子を動物の食料として提供します。
人間の食生活においても、穀物や果物、野菜の多くは受粉によって実を結びます。
受粉が途絶えれば、生態系も農業も成り立たなくなるほどの重要な仕組みです。

ポイント

  • 受粉は、花粉が雄しべから雌しべへ移る生命の第一歩
  • 動物・昆虫・鳥・風・水など、多様な媒介方法がある
  • ハチドリは鳥媒花の主要な受粉者であり、花との共進化を遂げている
  • 受粉は、植物の繁殖だけでなく、生物多様性と人間社会の基盤を支えている

関連用語リンク

  • 鳥媒花(ちょうばいか)
  • 虫媒花(ちゅうばいか)
  • 共進化(きょうしんか)
  • 蜜源(みつげん)
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WRITERこの記事の著者

hachidori-zukan

hachidori-zukan

【野鳥観察が人生の目的】憧れのハチドリに会いたくて、図鑑サイトを作りました!ハチドリに会える度に、充実していくであろう当サイト。「ハチドリを知るなら当サイト!」って言っていただけるようなサイトを作っていきますので、見守っていただけると、幸いです!