二次林とは、森林伐採や山火事、自然災害などによって破壊・消失した後に、人為的な植林ではなく、自然の力で再生した森林のことです。
これに対して、一度も大規模な破壊や人為的な影響を受けていない、本来の植生を保っている森林を「天然林」または「原生林」と呼びます。
二次林は、人の手が加わった歴史を持つ、身近な里山などの森林の多くを占めます。
由来・概要
二次林は、人間の生活と深く関わりながら生まれてきた森林です。
成立の背景
二次林が成立するきっかけは、主に人間の利用によるものです。
かつての日本では、薪(まき)や炭、肥料(落ち葉)を採取するために、定期的に森林の木を伐採したり、下草を刈ったりする「里山利用」が行われていました。
- 里山の二次林: 頻繁に木が伐られ、利用されてきた里山の多くは、カシ、コナラ、クヌギなどの成長が早く、切り株から新しい芽を出す力が強い広葉樹が主体となります。
- 放棄された農地: 耕作されなくなった農地や牧草地が、放置された後に自然に樹木が生えて森林に戻った場合も二次林に含まれます。
特徴
二次林の大きな特徴は、その成立過程と植生にあります。
植生の多様性
再生して間もない二次林は、光を好む陽樹が中心となります。
時間が経つにつれて、その下に日陰に強い陰樹が育ち始め、徐々に植生が複雑で多様になっていきます。
- 遷移(せんい): 二次林は、時間が経つにつれて、より安定した植生である天然林に近い状態へと変化していきます。この自然な変化の過程を遷移と呼びます。
- 構成種: 日本の二次林は、コナラ、クヌギ、アカマツなどが代表的な樹種です。これらは薪や炭、キノコ栽培の原木として利用価値が高かったため、積極的に残されてきました。
生態系における役割
二次林は、天然林ほど複雑な生態系ではありませんが、私たちの生活圏に近い場所に存在するため、多くの野生生物の生息地や移動経路として重要な役割を果たしています。
また、土砂災害の防止や水源の涵養(かんよう)といった公益的機能も持っています。
ハチドリとの関わり
ハチドリは、熱帯・亜熱帯地域に広く生息しており、その採餌戦略において二次林を利用することが多くあります。
採餌場所としての利用
ハチドリは高いエネルギー消費を補うため、蜜源を効率よく利用する必要があります。
再生途中の二次林は、一次林(天然林)に比べて林床に光が届きやすいため、低木や草本性の花が多く、一時的に豊富な蜜源を提供する場合があります。
- 移動と利用: 特に縄張りを持たず、広い範囲を飛び回る遊動型のハチドリは、再生している二次林や林縁部を一時的な採餌場所として積極的に利用し、エネルギーを補給します。
用語深掘り:二次林の価値と保全
現代において、二次林の価値は見直されています。
炭素固定の役割
二次林も、成長過程で大気中の二酸化炭素を吸収し、幹や枝に貯蔵する炭素固定の役割を担っています。
地球温暖化対策の観点から、その管理と適切な利用が求められています。
生物多様性保全の拠点
天然林が減少する中で、二次林は、多くの動植物にとって重要な生息環境となっています。
特に、昆虫や野鳥などの里地・里山性の生物は、二次林の周期的な利用(伐採や下草刈り)によって維持される明るい環境を好むため、適切な管理(手入れ)が生物多様性の保全に直結します。
ポイント
- 二次林は、破壊後に自然に再生した森林で、里山などに多く見られます。
- コナラやクヌギなどの広葉樹が主体で、時間が経つにつれて植生が変化する遷移の過程にあります。
- ハチドリは、光が届きやすく蜜源が多い再生途中の二次林を採餌場所として利用することがあります。
- 二次林は、炭素固定や里地・里山性生物の保全において重要な役割を果たします。
関連用語リンク
- 生息域(せいそくいき)
- 遷移(せんい)
- 里山(さとやま)
WRITERこの記事の著者
hachidori-zukan
【野鳥観察が人生の目的】憧れのハチドリに会いたくて、図鑑サイトを作りました!ハチドリに会える度に、充実していくであろう当サイト。「ハチドリを知るなら当サイト!」って言っていただけるようなサイトを作っていきますので、見守っていただけると、幸いです!

