「付加体」とは、海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込むとき、海底の堆積物が剥ぎ取られて大陸側に付け加わったものです。
主に砂や泥、プランクトンの殻などから成り、プレートが実際に動いている証拠でもあります。
由来・概要
「付加体(Accretionary Complex / Accretionary Prism)」という名称は、「付け加わる」という意味の「付加」に由来します。地球の表面は複数のプレートに覆われており、それぞれがゆっくりと動いています。
海洋プレートが大陸プレートの下へ沈み込む場所を「沈み込み帯」と呼びます。
この境界には海溝ができ、海洋プレートはその上の堆積物を引きずり込みながら沈みます。
しかし摩擦が大きいため、堆積物の一部が剥がれて大陸側に押しつけられ、積み重なっていきます。これが付加体の形成プロセスです。
日本列島は複数のプレートが交わる地域にあるため、付加体が広く分布しています。
特に四国や紀伊半島などには、古い時代の付加体が露出しており、日本の地質を理解する上で欠かせない要素となっています。
特徴
付加体は、強い圧力と変形を受けて形成されるため、地層が複雑に入り組んでいます。
褶曲(しゅうきょく)や衝上断層(しょうじょうだんそう)が頻繁に見られ、崩れた積み木のように入り乱れた構造を持ちます。この混ざり合った地層は「メランジュ」と呼ばれます。
構成物は、陸から流れ込んだタービダイト(乱泥流堆積物)や、深海でゆっくり堆積したチャート(放散虫などのプランクトンの殻由来の岩石)などです。
チャートは極めて硬く、過去の海洋環境を知る手がかりになります。
さらに、付加体は沈み込み帯で新たに付け加わることで大陸を成長させる役割を担います。
長い時間をかけて隆起し、山地や島を形成する力となっています。
ハチドリとの関わり
一見無関係に思える付加体とハチドリですが、地形という観点から深くつながっています。
付加体が長い年月をかけて隆起し、山地を形成することで、多様な気候と植生が生まれます。
たとえば、四国山地や紀伊山地のような付加体由来の山々は、標高差により多様な植物群落を生み出しています。
ハチドリのように標高や花の分布に応じて生活する鳥にとって、こうした地形は生息環境の基盤となります。付加体が生み出した複雑な地形こそが、生態系の多様性を支える源なのです。
生態系サービス:地下水と防災を支える地質構造
付加体は、私たちの暮らしにも欠かせない役割を果たしています。
一つは「地下水の貯留」です。圧力で砕かれた岩盤には多数の割れ目があり、そこに水がたまりやすくなります。これが天然の貯水槽となり、山から清らかな湧水を供給します。
もう一つは「防災機能」です。隆起した付加体の山地は、津波や高潮のエネルギーを弱める天然のバリアになります。その一方で、地層が不安定なため地すべりの危険もあります。地質構造を正しく理解することは、防災にも直結するのです。
ポイント
- 付加体は、海洋プレートが沈み込む際に剥ぎ取られた堆積物
- プレートテクトニクスを示す重要な地質構造
- 褶曲(しゅうきょく)や断層が多く、地層が入り組んでいる
- チャートやタービダイトなどの深海堆積物を含む
- 隆起して山地を形成し、地下水資源や防災にも寄与
関連用語リンク
- チャート
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hachidori-zukan
【野鳥観察が人生の目的】憧れのハチドリに会いたくて、図鑑サイトを作りました!ハチドリに会える度に、充実していくであろう当サイト。「ハチドリを知るなら当サイト!」って言っていただけるようなサイトを作っていきますので、見守っていただけると、幸いです!

