メリダ山脈は、南米ベネズエラ西部を走るアンデス山脈の北端部に位置する主要な支脈で、同国最長の山脈です。
標高が高く、万年雪をいただく山々とそこから流れ出す豊かな河川が特徴で、ベネズエラの地理や気候、農業に大きな影響を与えています。
由来・概要
山脈の名称は、ふもとの主要都市メリダ市に由来します。
スペイン語で「コルディジェラ・デ・メリダ(Cordillera de Mérida)」と呼ばれます。
山脈はコロンビア国境付近からベネズエラ領内に約400キロメートルにわたり、北東から南西方向に伸びています。アンデス山脈の最北端に位置し、コロンビアの東部山脈に連なっています。
最高峰はベネズエラの最高地点であるボリーバル山(Pico Bolívar)で標高約4,978メートルです。
高山部には万年雪や氷河の名残があり、渓谷にはメリダ市やサン・クリストバルなどの都市が発達しています。
山脈は多くの河川の源流となり、ベネズエラ中西部の水資源供給の中心でもあります。
特徴
メリダ山脈は標高差が大きく、気候帯と植生が非常に多様です。
低地には熱帯林や乾燥林が広がり、中腹(標高1,000〜3,000メートル付近)にはコーヒーやカカオの栽培に適した土地が広がります。また、霧に覆われた雲霧林が豊かな湿潤環境を提供しています。
高地(標高3,000メートル以上)にはパラモと呼ばれる高山草原が広がり、寒暖差の大きい環境でベネズエラ固有のフライレホンなどが生育しています。
地質的にも活動的で、過去には大地震も発生しました。
山脈の隆起と浸食は多様な地形と土壌を生み出し、結果として生物多様性の豊かさを支えています。
観光地としてもその自然美は高く評価されています。
ハチドリとの関わり
メリダ山脈は、標高差と多様な生態系により、ハチドリにとって重要な生息地です。
熱帯雲霧林やパラモには多くのハチドリ種が分布し、特に雲霧林では一年中湿潤で花が豊富なため、種の多様化が進みました。
ハチドリは固有種の植物の受粉媒介者として不可欠で、くちばしの形や好む花の形は植物と共進化しています。低地から高地へ移動しながら蜜を吸うことで、山脈全体の遺伝子の流れを維持しています。
生態系サービス
メリダ山脈は、水資源の供給という重要な生態系サービスを提供しています。
山頂に降る雪や雨は河川の源となり、農業用水や飲料水、水力発電に利用されます。
森林やパラモの湿地は水を蓄え、洪水を防ぎ、乾季に安定した水供給を可能にします。
さらに、山脈はカリブ海からの湿った空気を受けて雨や霧を生み、地域の気候を緩衝する役割も果たします。
これにより、ベネズエラ国内の多様な農業生産が支えられています。
ポイント
- ベネズエラ西部にあるアンデス山脈の北端支脈
- 最高峰はボリーバル山(Pico Bolívar)
- 標高差により熱帯林からパラモまで多様な植生が見られる
- ハチドリにとって重要な生息地で、固有植物の受粉に貢献
- 水資源供給と気候の緩衝という生態系サービスを提供
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hachidori-zukan
【野鳥観察が人生の目的】憧れのハチドリに会いたくて、図鑑サイトを作りました!ハチドリに会える度に、充実していくであろう当サイト。「ハチドリを知るなら当サイト!」って言っていただけるようなサイトを作っていきますので、見守っていただけると、幸いです!

