氷河とは、陸上で長い時間をかけて形成される巨大な氷の塊です。
英語では「Glacier」と呼ばれます。
積もった雪が圧縮されて再結晶化し、やがて自重で流れ出すようになります。
地球上のほぼすべての緯度に分布し、とくに南極、グリーンランド、そしてアンデス山脈などの高山地帯に多く見られます。
由来・概要
「氷河」という語は、フランス語の「glace(氷)」に由来します。
しばしば「氷の川」とも呼ばれ、静止しているように見えても、内部ではゆっくりと動いています。
山岳地域に降り積もった雪が溶けずに重なり、氷の層となって流れ始めたものが氷河です。
降雪量が融雪量を上回る場所でのみ形成され、国際的には面積が0.1平方キロメートル以上の雪氷塊を氷河と定義します。
アンデス山脈のような高標高地では、この条件が整いやすく、多数の山岳氷河が存在します。
特徴
雪は積もるごとに圧縮され、密度を増して「フィルン(万年雪)」となり、さらに圧縮が進むと氷河氷になります。
氷河は地球上の淡水のおよそ4分の3を蓄え、人間にとって貴重な水資源の貯蔵庫でもあります。
上部の硬い層は「破砕帯」と呼ばれ、その下では塑性流動によって氷がゆっくりと変形します。
この動きが地形を削り、U字谷やモレーン(堆積丘)をつくり出します。
こうした氷河作用によって、山岳地帯の地形や生態系は大きく変化してきました。
ハチドリとの関わり
コロンビアやエクアドルのアンデス山脈の高地では、氷河の存在する標高域にハチドリが生息しています。
およそ1,500メートルから5,200メートルにかけて、多様な種が棲み分けています。
アンデスの隆起はハチドリの進化を加速させ、氷河地帯の極寒環境に適応した個体群が生まれました。
高地のハチドリは夜間、気温が氷点下になると体温を3度前後まで下げ、代謝を抑える「休眠状態(トーパー)」に入ります。これは鳥類でも極めて珍しい適応です。
また、氷河から流れ出す融水は谷を潤し、低地の植生や蜜源植物を支えます。氷河の存在は、ハチドリの生息環境を間接的に守る生命線でもあります。
用語深掘り:氷河の形成とアンデスの生態系
氷河は、一片の雪から始まります。雪が年々圧縮され、数年から数千年をかけて厚い氷の層へと変化します
温暖な地域ではわずか数年で氷河氷になりますが、南極高原のような寒冷地では数千年を要します。
アンデス山脈の氷河地帯は、標高や気候の変化が激しく、湿地や低木林、草原など多様な環境が共存します。高地のハチドリは、低酸素環境でも飛翔できるよう血液中のヘモグロビンに進化的変化が見られます。
氷河に近い山腹には花が豊富で、捕食者も少ないため、採餌には理想的な場所です。
氷河はまた、過去の気候を閉じ込めた「自然の記録装置」でもあります。
氷床コアの分析によって、地球の気候変動の歴史を読み取ることができます。
近年の氷河後退は温暖化の指標であり、ハチドリを含む高山生態系への影響が懸念されています。
ポイント
- 雪が圧縮されて形成される陸上の巨大な氷塊
- 自重でゆっくりと流れ、谷を削って地形を変える
- アンデス山脈の高地に多く、ハチドリの進化と共存
- 標高5,000メートルを超える環境に生息する種も存在
- 融水が河川を生み、下流の生態系を支える水源となる
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WRITERこの記事の著者
hachidori-zukan
【野鳥観察が人生の目的】憧れのハチドリに会いたくて、図鑑サイトを作りました!ハチドリに会える度に、充実していくであろう当サイト。「ハチドリを知るなら当サイト!」って言っていただけるようなサイトを作っていきますので、見守っていただけると、幸いです!

