湿潤大陸性気候とは、四季が明瞭な大陸内部の気候です。
英語では「Humid Continental Climate」と呼ばれ、暖かい夏と寒い冬がはっきりしています。
由来・概要
この気候は1900年に気候学者ケッペンによって定義されました。
大陸内部で発達する温帯気候の一種で、北緯30度から60度の範囲に分布します。北アメリカの中央から東部、ヨーロッパ東部、アジア北部などが代表的です。
極気団と熱帯気団が交錯する地域であり、季節ごとの温度差が大きいのが特徴です。
最寒月の平均気温は0度または氷点下3度以下、4か月以上は10度を超えます。
ケッペンの気候区分ではD気候に属し、降水量も比較的多く、乾燥地帯ではありません。
北アメリカでは五大湖周辺から中西部、北東部に広がります。
特徴
四つの季節が明確に分かれ、気温差が極めて大きくなります。
夏は高温多湿、冬は寒冷で、北部では極寒となります。大陸内部のため海の影響が小さく、年較差は40度を超えることもあります。冬は大陸性寒帯気団に覆われ、厳しい寒さとなります。
降水は年間を通じて分散し、地域によっては冬にやや減少します。
年間降水量は50〜125センチメートルで、五大湖やメキシコ湾などから水蒸気が供給されます。
夏は雷雨が多く、無霜期間は150〜200日程度です。
南部では混交落葉樹林が発達し、西部では草原地帯に移行します。
肥沃な土壌は農業に適しており、トウモロコシや大豆などの栽培が盛んです。
ハチドリとの関わり
北アメリカでは約25種のハチドリが記録されており、その一部が湿潤大陸性気候の地域で繁殖します。
代表種はノドアカハチドリで、五大湖周辺や中西部、北東部の夏季に繁殖します。
これらの種は渡りを行い、春から夏にかけて北上し、秋に南下して越冬します。
湿潤大陸性気候の夏は花が豊富で、草原や森林に多様な植物が咲き誇ります。
ハチドリにとって蜜源と昆虫が揃う理想的な環境です。
高温多湿な気候では体温調節が難しく、呼気や皮膚の薄い部分から熱を逃がして体温を保ちます。
近年は気候変動による気温上昇が繁殖時期や渡りルートに影響を与えると考えられています。
生態系サービス
この気候は肥沃な土壌と安定した降水をもたらし、北アメリカの穀倉地帯を支えています。
トウモロコシ、大豆、小麦の主要生産地として世界の食料供給に貢献しています。
また、クマやオオカミ、コヨーテ、シカなど多様な野生動物が生息しています。
南部や東部では落葉樹と針葉樹が混在する混交広葉樹林が広がり、秋には美しい紅葉が見られます。
冬の降雪は春の融雪水として河川や地下水を補い、水循環において重要な役割を果たします。
四季の変化が明瞭で景観価値が高く、ハイキングやバードウォッチングにも適した地域です。
一方で都市化や農地化が進み、野生生物の生息地保全が課題となっています。
ポイント
- 四季が明瞭で気温差が大きい大陸内部の気候
- 北緯30〜60度に分布し、北アメリカとアジアに多い
- 年間降水量は50〜125センチメートルで冬に降雪
- ノドアカハチドリなどが夏に繁殖する地域
- 穀倉地帯を形成し世界の食料生産を支える
関連用語リンク
- ケッペンの気候区分
- 温帯気候
- 混交林
WRITERこの記事の著者
hachidori-zukan
【野鳥観察が人生の目的】憧れのハチドリに会いたくて、図鑑サイトを作りました!ハチドリに会える度に、充実していくであろう当サイト。「ハチドリを知るなら当サイト!」って言っていただけるようなサイトを作っていきますので、見守っていただけると、幸いです!

