「準絶滅危惧種」とは、今すぐに絶滅するわけではないけれど、環境の変化などで数が減り続けると、将来絶滅の危険が高まるおそれがある生きもののことです。
英語では「Near Threatened(ニア・スレットンド)」と呼ばれ、略して「NT」と表されます。
言い換えれば「危険の手前にいる生きもの」です。
由来・概要
この分類は、世界中の生物の絶滅リスクを評価する「IUCNレッドリスト」や、日本の「環境省レッドリスト」で使われています。
これらのリストは、野生生物がどのくらい危険な状態にあるかを段階的に示したものです。
「準絶滅危惧種」は、絶滅危惧種の一歩手前のランクに位置しています。
つまり、「まだ絶滅危惧には入らないけれど、このまま放っておくと危ないかもしれない」状態です。
特徴
準絶滅危惧種に指定されるのは、生息数の減少や生息地の破壊が見られるが、まだ危険度が高いとは言い切れない場合です。
たとえば、森の伐採で少しずつ住む場所が減っていたり、食べ物が減っていたりする生きものがこれにあたります。
絶滅危惧種のように明確な危険ではないものの、「今のうちに注意して守らなければならない」存在といえます。
選定の基準は、数の減り方、生息地の広さ、個体群の安定性などの科学的データをもとに評価されます。
ハチドリとの関わり
ハチドリの中にも、準絶滅危惧種に指定されているものがいます。
たとえば、南米や中米の山地に暮らすハチドリの一部は、森林伐採や農地開発によってすみかを失いつつあります。
ハチドリは特定の植物の蜜を頼りに生きており、その植物が減るとハチドリ自身も生きにくくなります。
こうした密接な関係があるため、ハチドリを守ることは、同時にその地域の植物を守ることにもつながります。
生態系サービス
準絶滅危惧種を守ることは、生態系全体の健康を保つことにも関係します。
ある種が減ると、その種を食べる動物や、花粉を運んでもらう植物など、周りの生きものも影響を受けます
ハチドリの場合、受粉を通じて森の再生を助ける役割があります。
もし彼らが減れば、花の数も減り、森のバランスが崩れるおそれがあります。
そのため、準絶滅危惧種の段階で気づき、保護の手を打つことが、自然全体の安定につながります。
ポイント
- 準絶滅危惧種(NT)は「絶滅危惧の一歩手前」にある生物
- 数や生息地が少しずつ減っており、将来的な絶滅リスクがある
- 早い段階での保護が、絶滅を防ぐ最も有効な方法
- ハチドリの中にも、森林破壊や蜜源の減少によってこのランクに入る種がいる
- 守ることは、植物や森、そして人の暮らしにもつながっていく
関連用語リンク
- 絶滅危惧種
- 環境省レッドリスト
- 生息地保全
- 絶滅
WRITERこの記事の著者
hachidori-zukan
【野鳥観察が人生の目的】憧れのハチドリに会いたくて、図鑑サイトを作りました!ハチドリに会える度に、充実していくであろう当サイト。「ハチドリを知るなら当サイト!」って言っていただけるようなサイトを作っていきますので、見守っていただけると、幸いです!

