草地とは、木ではなく草が主に生えている土地のことです。英語では「Grassland」と呼ばれます。
イネ科の植物が中心で、風に揺れる広い原っぱのような景観が広がります。
由来・概要
草地は南極をのぞくすべての大陸にあります。
世界の陸地の約3〜6割を占めるともいわれ、地球で最も広がっている生態系のひとつです。
森林ほど雨が多くなく、砂漠ほど乾燥していない場所に広がります。
つまり、森林と砂漠のあいだの環境にあるのが草地です。
草地には三つのタイプがあります。
自然にできた「自然草地」、人の管理が入る「半自然草地」、そして放牧や農業用に作られた「農業草地」です。
このように、気候や人の関わり方によって姿を変える柔軟な生態系です。
特徴
草地ではイネ科の草のほか、マメ科やスゲ、イグサ、クローバーなどさまざまな草本植物が混じり合っています。木が少なく、見渡す限りの草原が続きます。
雨の量は年間で25センチから100センチほどと中くらいで、地域によって高さ30センチほどの低い草地もあれば、2メートルを超える高い草地もあります。
気温の幅も広く、温帯では冬に氷点下となり、熱帯では30度を超えます。
草の根は深く、1〜2メートルも伸びることがあります。
そのため、草地の土はとても肥えています。アメリカのプレーリーの黒土などは、農地として世界でも有名です。
また、草地では自然火災が周期的に起こります。
これが草の更新を促し、木の成長を抑えるため、広い草原が保たれます。
地下にはミミズや線虫、昆虫の幼虫などが豊かに暮らし、地表ではウシやシカ、ゾウ、チーター、草原の鳥など多様な生き物が共存しています。
ハチドリとの関わり
草地は、北アメリカのハチドリにとって大切なすみかです。
たとえばノドアカハチドリは、公園や庭、半開けた草地で暮らします。
草地にはハチドリが好む花が多く、ビーバーム、ルピナス、ペチュニア、トランペットハニーサックルなど、管状で蜜の多い花が咲きます。
これらの花は、ホバリングしながら蜜を吸うハチドリにぴったりの形です。
また、ハチドリは草地で小さな虫も食べます。渡りの途中でエネルギーを補給するのにも草地が役立っています。
草地はさまざまな生き物が関わる場所になっていて、身近な生態系づくりの一環になっています。
生態系サービス
草地は地球全体で見ると、炭素をたくわえる巨大な貯蔵庫です。
特に温帯草地の土壌は、森林に次いで多くの炭素を抱えています。
また、雨水を吸収し、川の流れや水循環を安定させる働きもあります。
放牧地としても重要で、世界で約10億人が草地に依存して暮らしていると推定されています。
牛や羊の飼料、生物多様性の維持、そして気候変動の緩和など、多くの面で人間社会を支える生態系です。
ただし、過放牧や誤った植林、乾燥化などにより、多くの草地が失われつつあります。持続的な管理と保全が求められています。
ポイント
- イネ科植物が優占する地球規模の生態系
- 森林と砂漠のあいだに位置する中間環境
- ハチドリが蜜や虫を得る重要な生息地
- 世界の10億人が放牧や農業で依存
- 炭素貯蔵や水循環など重要な機能をもつ
関連用語リンク
- サバンナ
- ステップ
- パンパ
WRITERこの記事の著者
hachidori-zukan
【野鳥観察が人生の目的】憧れのハチドリに会いたくて、図鑑サイトを作りました!ハチドリに会える度に、充実していくであろう当サイト。「ハチドリを知るなら当サイト!」って言っていただけるようなサイトを作っていきますので、見守っていただけると、幸いです!

