サバンナとは、草原に樹木が点在する生態系です。英語では「Savanna」と呼ばれます。
草地に樹木が広く散在する混交草地林バイオームで、熱帯から亜熱帯の広い地域に分布します。
由来・概要
「サバンナ」という言葉は、スペイン語の「sabana」に由来し、もともとはタイノ語で「樹木のない草原」を意味していました。
西インド諸島でこの語が使われ、のちに世界各地の類似した草原地帯にも当てはめられるようになりました。
サバンナでは林冠が閉じず、木々が広く間隔を開けて生えています。
そのため十分な日光が地表に届き、草本層が切れ目なく発達します。
雨季と乾季がはっきり分かれた季節性が特徴で、降水量の多くが一年の特定の時期に集中します。
現在、サバンナは地球の陸地面積の約20%を占めています。
熱帯雨林と砂漠の中間帯に位置し、典型的には赤道から緯度8〜20度の範囲に分布します。
気候は温暖から高温で、年平均降水量はおおよそ90〜150センチメートルです。
特徴
サバンナにはいくつかのタイプがあります。
樹木がやや多い樹林サバンナ、樹木が散在する疎林サバンナ、低木が優占する低木サバンナ、そしてほとんど樹木のない草原サバンナです。
いずれも年間を通して高温で、乾季が長い傾向にあります。
乾季には草が茶色く枯れ、雨季になると一気に緑が戻ります。
火災はこの環境の一部として頻繁に発生しますが、古い草を焼き、新しい芽の成長を促す重要な役割を持ちます。
植物の多くは深い根を張り、地下水に届くことで乾季を乗り切ります。
代表的な植物としてはアカシアやバオバブが挙げられます。
アカシアは乾季に葉を落とし、バオバブは幹に水を蓄えることで乾燥に適応しています。
ハチドリとの関わり
ハチドリの中には、サバンナや半開放的な環境を好む種がいます。
ツバメハチドリはその代表例で、ブラジルのカーチンガやセラードに広く分布します。
これらの地域は熱帯サバンナの典型的な生態系であり、乾燥と季節的降雨が交互に訪れます。
ツバメハチドリは森林の奥ではなく、明るい草地や疎林を好みます。
短い嘴で花冠の短い花を訪れ、乾燥した環境でも効率よく採餌します。
セラードでは拠水林(はんしょうりん)とサバンナが入り交じり、花の資源が断続的に存在します。
そのためハチドリたちは、花蜜の多いパッチをめぐって縄張り行動をとることがあります。
ツバメハチドリはその中でも優占種として観察されています。
生態系サービス
サバンナは多くの動植物にとって重要な生息地であり、世界人口の約4分の1がこの地域で暮らしています。
アフリカのサバンナでは、シマウマ、ヌー、ゾウ、キリンなどの大型草食動物が生息し、それらを捕食する肉食動物も豊富です。
これらの生物が草を食べ、移動することで、景観が再生される仕組みが維持されています。
また、サバンナは気候緩和にも寄与します。
植物が炭素を吸収し、土壌や根に貯蔵することで温室効果ガスを減らします。
特にブラジルのセラードは、世界最大級の地下淡水帯水層であるガラニ帯水層を抱え、地域の水供給にも重要です。
しかし、サバンナは農業や牧畜、都市開発の拡大により急速に失われつつあります。
森林の保全に比べ、草原やサバンナへの保護意識は低く、固有の生態系が危機に直面しています。持続可能な土地利用と保全が求められています。
ポイント
- 草原に樹木が点在する熱帯から亜熱帯の生態系
- 地球の陸地面積の約20%を占める
- 雨季と乾季が明確で年間降水量は90〜150センチメートル
- ブラジルのセラードは多くのハチドリ種の生息地
- 炭素貯蔵や水供給など重要な生態系サービスを提供
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hachidori-zukan
【野鳥観察が人生の目的】憧れのハチドリに会いたくて、図鑑サイトを作りました!ハチドリに会える度に、充実していくであろう当サイト。「ハチドリを知るなら当サイト!」って言っていただけるようなサイトを作っていきますので、見守っていただけると、幸いです!

