植生帯とは、気温や雨の量などの気候に合わせて、植物が似たような姿で広がる帯のことです。
英語では「Vegetation Zone」や「Vegetation Belt」と呼ばれます。
寒い場所や高い山では低い草が多く、温かい場所では高い木が多いように、環境に応じて植物の顔ぶれが変わります。
由来・概要
この考え方は、19世紀の地理学者フンボルトの研究に始まります。
彼はアンデス山脈を調べる中で、標高が上がるにつれて植物が段階的に変わることを発見し、
後にアメリカのメリアムが標高による変化と緯度による変化が似ていることを示しました。
たとえば、山を登ると北へ進むのと同じように気温が下がり、植生が変わります。
植生帯は気温、降水量、土壌、風、地形などの影響を受けます。
代表的な帯にはツンドラ、亜寒帯林、温帯林、草原、砂漠、熱帯雨林、サバンナ、高山帯などがあります。
特徴
標高による植生帯は、おおまかに五つに分けられます。
「低地帯、山地帯、亜高山帯、高山帯、雪氷帯」です。
標高が上がるにつれて気温が下がり、植物の種類が減ります。
森がまばらになり、やがて草地や岩場になります。
特に森林限界は大きな境目です。
そこから上では木がほとんど育たなくなり、風に曲がった低い木(クルムホルツ)や草が主になります。
また、気温や雨の変化により、同じ緯度でも場所によって植生帯の標高は違います。
ハチドリとの関わり
アンデス山脈では、多くのハチドリが標高1500メートルから5200メートルの間で暮らしています。
山の高さごとに咲く花の種類が違うため、ハチドリはそれに合わせて移動します。
標高が高い場所では酸素が薄くなりますが、ハチドリは速い心拍と呼吸でそれに対応しています。
研究によると、ハチドリは標高や季節に応じて生息地を細かく変えています。
特に花の咲くタイミングに合わせて上下に移動し、限られたエネルギーをうまく使って生きています。
アンデスでは一つの地域で140種以上のハチドリが共存するほど、多様な植生帯が生きものの進化を支えています。
用語深掘り
低地帯は熱帯雨林や乾燥地帯など、多様な環境を含みます。
山地帯は森林が広がる中標高のエリアで、場所によって針葉樹や広葉樹が主になります。
亜高山帯では背の低い木や草が増え、高山帯では草原や低木が中心になります。
最上部の雪氷帯では、植物がほとんど育ちません。
アンデス山脈では「パラモ」と呼ばれる独特の高山植生があります。
そこには標高ごとに違うハチドリの群れが生息しています。
この垂直的な多様性が、花とハチドリの共進化を生み出し、新しい種を誕生させてきました。
植生帯の変化と保全
気候変動や人間の開発によって、植生帯は少しずつ位置を変えています。
気温上昇で森林限界が高くなり、草原が縮小することもあります。
これによりハチドリや他の生物の生息地も変わり、個体数の減少につながるおそれがあります。
そのため、植生帯の研究は生態系の保全に欠かせません。
山岳地帯の連続性を守ることが、ハチドリの多様性を維持する鍵となります。
ポイント
- 気候や標高の違いで植物の分布が変わる
- 緯度による水平分布と標高による垂直分布がある
- アンデス山脈では1500〜5200メートルに多くのハチドリが生息
- 花と嘴の共進化が種の多様化を促した
- 気候変動による植生帯の移動が生態系に影響
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hachidori-zukan
【野鳥観察が人生の目的】憧れのハチドリに会いたくて、図鑑サイトを作りました!ハチドリに会える度に、充実していくであろう当サイト。「ハチドリを知るなら当サイト!」って言っていただけるようなサイトを作っていきますので、見守っていただけると、幸いです!

